事業名称 |
ジュニア・エコノミー・カレッジ
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登録単会名 |
東北/福島県/会津若松YEG |
テーマ |
多くの起業教育は、職場体験や講演などの模擬体験であり、職業観育成が中心となっている。しかし、起業教育は、起業家をロールモデルとして、そのコンピテンシーや考えを学ぶことが本質であると考えている。そのために、起業家が持つ起業・事業を通しての達成感、悩みや不安などを実際に子供達に体験させている。また、疑似体験も出来る限り現実に近い形にしている。例えば、模擬銀行への借入申し込み、借入金、借入利息、売上の10%を税金(実際は自治体等への寄付)とするなどがあげられる。これらを通して、子供達自身が何をやりたいのかを考え、悩み、友達と話し合い、意見の相違により葛藤し、完売や役員報酬といった達成感・喜びを得て、自らが課題を発見・解決する能力を育成し、社会との関わりを勉強していく事を最大のテーマとしている。
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事業内容 |
小学校5・6年生が5人1組で模擬株式会社を設立し、資本金10,000円、借入金10,000円の計20,000円を元手に実際に商売を体験する。販売終了後、商品のアイディアや売り方、利益額などを総合的に評価し、最も優秀なチームをグランプリとして表彰する。カリキュラム(イベント)及び個人のワークを通して、会社の設立から解散までを行う。カリキュラムは以下の通り。
【ドリームセミナー(1日3時間)】
株式会社とは何か、株式会社における事業計画の必要性などを学ぶ。また、ドリームセミナーで会社の設立登記を行う。また、同時間帯に、保護者を対象としたサポーターセミナーを開催し、子供との関わり方や起業教育について説明を行う。
【合宿(2日間12時間)】
ドリームボード(会社の事業計画書)を作成し、ビジネスマナー、銀行への借入申し込みのプレゼンを行い、事業を行う準備を進める。
【会社説明会(各自1時間)】
保護者を対象に各会社が事業説明会を行い、1人1,000円×10名の出資を募る。
【販売(1日6時間)】
イベント会場に出展して実際に販売を行う。
【まとめセミナー(1日3時間)】
決算報告書を作成し、利益処分(税金、役員報酬、配当金)を行う。また、保護者へのお礼の手紙と事業のまとめを行う。
【決算発表会、表彰式(1日3時間)】
結果の評価を発表し、優秀チーム等の表彰を行う。
また、子供達は、個別に商品の決定、サンプルの作成、仕入れ、帳簿付けなどを行っている。
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効果・成果 |
小学校5・6年生が対象であるが、5年生で参加した子供達のほとんどが6年生でも参加している。また、学校の卒業文集でもジュニエコが一番楽しかったと書くほど、子供達の満足度の高いカリキュラムとなっている。小学生を対象としているため、まだ起業家が生まれたなどの実績はないが、アンケートの結果から子供達の成長が伺える。
特徴的な結果は以下の通り。
(平成18年度アンケート結果、母数130件)
<仕事についてどのように思っていますか?>
●お客様に喜んでもらうため
ジュニエコ前43件 → ジュニエコ後59件
●稼ぐことは大変
ジュニエコ前42件 → ジュニエコ後75件
●お金のため
ジュニエコ前46件 → ジュニエコ後30件
小学校での認知度については、事業開始当初は、保守的な会津地域の風土から「子供に商売をさせるのはまだ早い」「学校は金儲けを教えるところではない」といった反発があったが、現在では事業説明の必要がなく、学校で出来ない教育の一つとして認知され、学校を挙げて協力していただいている小学校も多くなっている。
他の地域では、ジュニエコをモデルとして、平成18年度からは長野県須坂市の須坂YEGが開催し、平成20年度には岡崎YEGが開催予定としており、全国の民間主導型教育のモデルとなっている。また、起業教育の事例発表を平成18年だけで3件行ったほか、東北経済産業局、四国経済産業局、商業高校、京都教育大学から内容の取材があるなど、民間主導型起業教育の実践事例ではリーダー的な立場の評価をいただき、多くの視察を受け入れている。
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連携単会名 |
東北/福島県/会津喜多方YEG
北陸信越/長野県/須坂YEG
東海/愛知県/岡崎YEG
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協力団体・企業 |
会津地域の商工会・商工会議所青年部、会津若松市教育委員会、会津若松市商工課
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開催場所 |
カリキュラムにより以下の通り。(平成19年度)
【ドリームセミナー】
会津大学(会津若松市)
【合宿】
ロッジ&セミナー・アルツ(磐梯町)
【販売】
会津ドーム前広場(会津ブランドものづくりフェア会場)(会津若松市)
【まとめセミナー】
会津大学(会津若松市)
【決算発表会、表彰式】
会津大学(会津若松市)
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開催期間 |
2000/4/1 - 2007/9/30 |
事業運営人数 |
20人
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関連事業継続回数 |
7回
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事業目的・目標 |
事業実施の契機となったのは、小学生を対象とした将来なりたい職業のアンケート結果で、公務員が一番多い回答であったためである。公務員はすばらしい職業であるが、地方経済の発展のためには、商工業を目指す子供も必要である。この課題を解決するために、子供達に商売の楽しさと厳しさを知ってもらう事を目的として平成12年度より当事業を実施している。
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特徴・特色 |
最大の特徴は、「疑似体験ではなく模擬体験である」ということである。資本金と借入金を元手として現金を扱い、利益の中から子供たちは報酬を手にする。多くのバザーやフリーマーケット、職場体験などでは元手がかからない仕組みで、リスク・自己責任を学ぶ機会がない。しかし、ジュニエコでは資本として集め、仕入が発生するので自己責任を学ぶことができる。過去には、20,000円の資本及び借入金を元に、70,000円以上を売り上げた実績がある。
また、株式を発行し、決算報告書を作成するので、会社の設立から事業の実施、解散までの一連の流れを学ぶことができる。株式を投資の対象として学習することはあるが、資金調達の手段として学習するプログラムは意外に少ない。
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将来像・夢 |
今の子供達は、社会と関わる力が非常に低下してきている。これは、少子高齢化や地方の過疎化などが進むにつれ、さらに低下していくものと思われる。学力低下が叫ばれているが、まだまだ高い学力を有しているわが国においては、その学力(知力)を活かす能力の育成が必要である。知力が高いとは、答えがある課題に対して解決する能力を持っていることである。しかし、社会では必ずしも答えがあるわけでもなく、また一つとも限らない中において、知力を活かす能力とは、まさに考える力といえる。起業家をロールモデルとしてコンピテンシーを明らかにしていくと、論理的思考・概念的思考が高くなることが分かっている。また、その力を発揮し、他社への影響を発揮するために、社会との関わる力を必要とされ、起業家のリーダーシップや自己理解、他者理解等の能力から明らかにできる。この能力も今の日本に求められている能力である。
この能力を育成する起業教育を学校教育だけで行うのではなく、地域の商工業団体が行っていくことが地域教育力の再生につながり、地域経済の発展につながっていく。そのために、会津地方には17市町村があるが、平成20年度には他の地域でも開催され、平成21年度以降は他の全国の商工業団体に広めていき、未来の子供達の能力を育成し、将来的な地方経済の発展を目指していく。
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関連HP |
ジュニアエコノミーカレッジ
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